近年は商取引のデジタル化はもちろん、世界的なSDGsの広まりを受けてペーパーレス化も進んでいます。今後ますます進むであろうデジタル化において、最近「EDI」というワードをよく耳にするのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、以下のポイントについてお答えしていきます。
- EDIとは何? 仕組みを知りたい
- 特に注目されているWEB-EDIとは?
- EDIが抱える2024年問題とは何か?
効率的な取引に貢献するEDIとは? EOSとの違いは?
EDIとは「Electronic Data Interchange」を短縮した言葉で、日本語にすると「データ交換」を意味します。
「受発注」「出荷」「請求」「支払」等の様々な取引に関するデータのやり取りを通信回線を通じて取引先企業と行う、電子商取引の仕組みのことです。
これまで電話やメールを使って人の手で行ってきた作業を自動化できるので、業務の効率化に役立つシステムとして注目されています。
詳しくはこちらをご覧ください。
EDI取引の仕組みを例を使ってわかりやすく解説
繰り返しになりますが、EDIは日本語に直すと「データ交換」を意味します。つまりEDI取引とは、企業間で取引を行うときに必要となる「発注書」「納品書」「請求書」等のあらゆる資料を電子化し、データでやり取りを行う取引のことです。
通常データのやり取りは、取引企業と専用回線を繋いで行います。
上図のようにEDIシステムを間に入れることで、両企業で使用している販売管理システムに対して直接取引データを送受信することが可能になるのです。
EDIシステムを活用することで、発注者側が手作業で行っている請求書の印刷・郵送や、受注者側のデータ入力等の作業を行う必要がなくなるでしょう。
基幹システムと連携可能なEDI・主な仕組み5種類を比較
自社で使用している基幹システムと連携可能なEDIですが、主要な5種類について概要を紹介します。
①相手先ごとにルールが違う:個別EDI
取引先の数が少ない場合に使われることが多いのが、個別EDIです。
データの送受信が正確に行われるように、通信形式等のルール等を各取引先と決めていく必要があります。手間がかかるので、取引先を拡大しにくい点がデメリットでしょう。
なお、一般的には発注する企業が主導してルールの策定等を行います。受注側は発注企業ごとに仕様を変更させる必要が出てくるかもしれません。
②ルールが統一化されている:標準EDI
個別EDIとは異なり、既に標準化してある形式やルール、フォーマット等を活用して行うのが「標準EDI」です。
取引先ごとにルール設定等を行う必要がないので、複数の企業間であってもやり取りがしやすいことがメリットになるでしょう。また、5種類の中で最も多くの企業に導入されているEDIでもあります。
③標準EDIの業界特化型:業界VAN
「業界VAN」とは、業界に特化している標準EDIです。
各業界で共通したコードが統一されているので、特定の業界の中にいるのであれば使いやすいのではないでしょうか。また業界VANに接続すると、業界VANを活用しているすべての企業と繋がることができるようになるのがメリットでしょう。
逆にデメリットは、ほかの業界に属する企業とのやり取りが難しくなることです。
④インターネット回線を利用する:WEB-EDI
「WEB-EDI」は、現在のインターネット回線をそのまま利用できるEDIで、別名「インターネットEDI」とも呼ばれます。手軽に行うことができ、通信速度が速いことが特徴です。メリット等については、後ほど詳しく紹介します。
⑤利用時にほぼ制限のない:全銀EDI
「全銀EDI」とは、取引先への振込みを行う時に、振込企業のあらゆる情報を入金先の企業へと送信することができるシステムです。ほかのEDIとは異なり、送信できる情報量にほぼ制限がありません。よって入金側の企業にとっては、例えば売掛金の消込作業等の業務効率化を図ることができるでしょう。
また多くの情報を一度で送付できるため、先方に問い合わせる負担の低減にも繋がります。
EDIの中でも最近注目を集めている「WEB-EDI」とは
紹介した5つのEDIの中でも、特に注目を集めているのがWEB-EDIです。その理由について、4つ紹介していきます。
注目理由①回線速度が速い
インターネット回線を利用するので、電話回線を利用したEDIと比較して通信速度が速くなります。また大量のデータをやり取りする場合でも、通信速度が遅くなってしまう心配もないでしょう。
高速通信が可能であることのメリットとして、データ通信時にタイムラグが少なくなります。その結果、例えばリアルタイムの情報が欠かせない生産計画等にも利用することができるでしょう。
注目理由②ほかのEDIより比較的低コスト
WEB-EDIは、専用回線を整備する必要がありません。インターネット環境さえあれば利用することが可能なので、ほかのEDIと比較しても低コストで始めることができるでしょう。
またパソコン以外でも、スマートフォンやタブレットからのアクセスもできます。まずは現状でできるところから始めてみて、徐々に必要なものを取り入れていくことが可能です。無駄なコストを使わずに済むでしょう。
そのほか、インターネット回線を活用するので通信費を低く抑えられるのもメリットです。
注目理由③導入方法がブラウザから容易にできる
WEB-EDIは、インターネット上のブラウザから操作することができます。専用のシステムをインストールする必要がないからです。
また専用のシステムを導入する手間も省けるので、もしほかのEDIを使用している場合でも入れ替えをスムーズに行うことができるでしょう。
注目理由④セキュリティ対策が常に最新である
インターネット通信における暗号化技術の発展は日々進化しているので、最新のセキュリティ対策を取ることができるのもメリットでしょう。
さらに電子証明書で認証を取るようにすれば、現状のパスワードによる認証よりもセキュリティ対策を万全にできます。
WEB-EDIの注意すべきポイント
標準化されておらず、企業間で使えない可能性がある
WEB-EDIは、送付する際のデータ形式や取引を行う画面が標準化されていない点に注意が必要です。つまり個別EDIと同様に、取引先ごとにWEB-EDIを導入しなければいけません。
またWEB-EDIは自社で容易にカスタマイズが可能なので、独自のシステムを構築している場合があります。もし通信プロトコルに互換性がない場合は、データの送受信が行えない企業が出てきてしまう可能性もあるでしょう。
ブラウザ上での作業が煩雑化してしまう
繰り返しになりますが、WEB-EDIは送付する際のデータ形式や取引を行う画面が標準化されていません。よって発注先企業ごとに異なってしまうので、いくつも画面を開かなければいけない「多画面化」を引き起こしてしまいます。
その結果、取引先ごとのログインID等の管理が必要になりますし、例え同じ作業を行うにしても取引先ごとのページを開かなくてはいけないので、ブラウザ上での作業が現状より煩雑化してしまうでしょう。処理速度や業務効率が低下してしまう恐れがあるので、注意が必要です。
EDI導入のすすめ方
①取引先と打ち合わせの上データ送受信の環境を整える
取引先と正確なデータの送受信を行うためには、お互いにしっかりと環境を整える必要があります。EDIでは各社が利用しているシステム同士を、専用の回線で繋がなくてはいけません。回線上で確実なデータのやり取りを行えるよう、「通信プロトコル」「コード」「お互いの導入スケジュール」等を確認するようにしましょう。
特に通信プロトコルは種類がいくつもあり、業界によっても利用しているものが異なっています。必要なプロトコルを見極め、導入後に問題が起きないように準備を進めていきましょう。
②受信データを自社システムに合う形式に変換できるようにする
EDIで送付されてくるデータは各社様々で、例えば「XML形式」「CSV形式」等が考えられます。その取引先から送付されてくるデータを自社のシステムにうまく取り込むためには、文字コードやレイアウト等を自社システムに合うように変換しなければいけません。
そのため、取引先ごとに送信する際の「データ形式」「識別コード」等を確認しておきましょう。
また、送付されてきたデータを自社システム用に変換する機能をしっかり準備することが重要です。
今後EDIが直面する2024年問題・生き残るには?
そもそも2024問題とは
EDIに幅広く利用されているのが、ISDN回線です。しかしNTT東日本・西日本は、2024年1月にISDN回線の提供を終了してIP網への完全移行を発表しました。品質や信頼性等が高いのでISDN回線を利用している企業が多いですし、少なからず影響が出るであろうと予測されているのが「2024年問題」です。
2024年以降はISDN回線の利用ができないので、ほかのシステムへの変更を余儀なくされてしまいます。今から対応を考えておく必要があるでしょう。
WEB-EDIの導入時期がターニングポイント
取引先の数が多い場合は、新しいシステムに移行するにしても時間とコストの両方がかかってしまいます。時間のことを考えると、早めの対応が求められるでしょう。
もしかしたら取引先の中には、EDIを利用していることさえ認識していない可能性もあります。2024年問題のためにも、取引先とWEB-EDIの導入時期について共有してみるのも良いのではないでしょうか。
「oneplat」で連携して納品書・請求書の受け取りを効率化しよう
ここまでEDIについて紹介してきましたが、納品書や請求書の受け取りから承認まで、クラウド上で完結できるシステムに「oneplat」があります。
下記のような悩み・問題を抱えている企業が多いのではないでしょうか。
- 毎月、納品書や請求書のチェック・入力作業等に時間がかかる
- 納品書と請求書の突合作業が大変
- 資料の保管・管理が大変
oneplatは取引先に納品書や請求書に必要なデータを登録してもらうだけで、自社の会計システムや販売管理システムと自動連携が可能です。入力や突合作業が不要になるので、業務の効率化が図れます。
【まとめ】EDI取引を行うなら、自社と相性のよいサービスも導入しよう
今回の記事ではEDIについてお伝えしてきましたが、いかがでしたか?
- EDIとは取引先と「受発注」「請求」等のデータのやり取りを、通信回線を利用して行う商取引のこと
- EDIには、主に5種類ある
- 特に注目されているのがWEB-EDIであるが、標準化されておらず、作業が煩雑化してしまう可能性がある
- 2024年問題で生き残るため、EDIの導入を再考する必要がある
2023年には新しくインボイス制度がスタートする予定ですし、今後ますます電子化が進むことが予想されます。
oneplatは納品書や請求書の一元管理も可能で、これまで相当な手間をかけていた作業の効率化が図れます。もちろんインボイス制度にも対応しています。
是非、oneplatの導入をご検討ください。